横浜エリア 事務所用パーティションの設計・施工・販売 【有限会社グリーンアップ】

2019/12/5 13:32 日本経済新聞掲載
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和室の床の間にある杉丸太の床柱。つるつるやさざ波、こぶの連続など模様は様々だが、どれも丁寧に磨かれ光沢がある。この床柱で5割以上のシェアを持つのが京都市北西部の北山地方で生産される北山丸太だ。室町時代から約600年の歴史を誇るが、平成時代は和室の減少に苦しんだ。最近は優美な形や模様が注目され、おしゃれな意匠材として存在感を高めている。

「この丸太はよう磨かれとる、べっぴんや。1万7000。1万6000円。はいっ決まり」。17日、京都北山丸太生産協同組合(京都市)で恒例の市売りが行われた。倉庫内にセリ子の太く低い声が響き渡り、立てかけられた丸太が次々とセリにかかる。参加した問屋は14社。1時間半ほどで837本を競り落とした。丸太の価格は同サイズの他産地産丸太に比べ5~10倍高いという。

北山地方は古来、林産物をなりわいとしてきたが、地味が悪く大径木が育たない。川幅も狭く人力で運ぶしかないため、小径木の付加価値化に特化した。室町時代にまっすぐに伸びるシロスギの植林を開始。徹底した枝打ちと丁寧な加工、乾燥、磨き作業で真円に近い高級丸太を作り出した。

需要は桂離宮、二条城といった歴史建築から茶室、町家、料亭まで幅広い。昭和以降は床柱が圧倒的だ。1988年度には過去最高の約16万3千本(中心は長さ3メートル)が出荷されたがその後は低迷。2018年度は約8千本とピークの20分の1程度となっている。

こうした状況を受け、産地では数年前から需要開拓に懸命だ。徐々に成果を上げており、17年6月に北山丸太生産協組が福寿園の宇治茶カフェ「茶の木」の店舗向けに納入。今年2月には京北銘木生産協同組合(京都市)が京都駅地下街にベンチを設置した。他にホテル、銀行などの内装に使うケースが増えてきた。

北山丸太生産協組は商品開発も行う。リド(東京・世田谷)のインテリアコーディネーター伊藤直子氏と連携し、ガラスを組み合わせたパーティション「木洩(も)れ陽」を商品化した。来年からオフィス・店舗向けに本格的な営業を始める。

石川裕也・北山丸太生産協組理事長は「需要は床の間が7~8割、その他が2~3割だが後者の意匠材を伸ばしたい。和だけでなく洋の空間を提案し、ブランドを守り抜く」と話す。

輸出に取り組む業者もある。「内需だけでは厳しい」と危機感を持つのは中源(京都市)の中田治社長だ。「海外は『建材』ではなく魅力的な『素材』として見てくれる。建材以外の用途が広がる」と期待する。フランスのデザイナーと組み、7年前からオーダーメードの家具を現地で生産。製品はテーブルから棚、収納ボックスまで幅広い。素材輸出量は年間100本分だったが、来年から300本分に増える見通しだ。

中田林業(同)は神戸の木材会社と連携し、3年前から台湾に磨(みがき)丸太を年間数十本輸出している。台湾は日本建築への関心が高く、門などに使われるという。

今後さらに輸出を増やすには外国人を産地に呼び込む努力も欠かせない。北山地方は市街から車で30~40分だが観光客はほとんどいない。川端康成「古都」の舞台の一つになった美しい景観をアピールし、外国人を誘導すれば効果は大きい。10月、京都府は外国人対象のツアーを初実施。8カ国28人の留学生を案内した。「小物や雑貨は面白い」「ネットで販売してほしい」といった声が聞かれた。

日本の林業は戦後の植林が伐採期に入り、需要創出が急務。北山地方の高級路線の維持と需要転換、輸出拡大が軌道に乗れば、林業のあり方を示す一つのモデルにもなる。
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